「なんで働いているんですか?」その答えに、離職率3年3割の理由がある。

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昨年4月に入社した新入社員の退職の話を、ここ最近よく耳にするようになった。企業は「最近の若い奴は、根気が足りない」と嘆き、若者は「自分のやりたい仕事ができない」と早々に見切りをつける。中卒7割、高卒5割、大卒の3割が3年以内に離職する。「七五三」現象と言われるほど、若手社員の早期離職は当り前のような現象になっているが、実は昔から、若手人材の早期離職率は変わっていない。

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どうしてこれほどまでに問題視されるようになったのか?若者が企業を離職する理由として上位にあげられているのは、「職場の人間関係」「キャリアアップが望めない」。いずれも、若者と企業の「関係性」が原因の根底にある。

双方にすれ違いを生むのは「なんで働いているのか?」に企業も新入社員も応えることができないからではないだろうか。

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「なんで働いているんですか?」

そう若手社員から聞かれたとして、ドキッとする方も多いと思う。40〜50代のベテラン社員は、働く理由ややりたいという気持ちを迷い探すのではなく、がむしゃらにできることをやり続けたような人が多いのではないだろうか。

新入社員が求めている「働く理由」が社内でも見い出せず、様々な理由をつけて辞めていく。これほどまでに情報が溢れ簡単にアクセスできるのに、なぜ「理由」がないままに就職してしまうのだろうか。

 

企業側から「志望動機」しか問われない

企業が行う選考にもその原因があるように思う。おそらくほとんどの企業が、選考時に「弊社への志望動機は何ですか?」と聞いている。けれどこの質問では、求職者の考えや人間性はまったくわからないだろう。その理由は2つあって、一つは、その仕事をしたこともないのにインターネットや説明会で得られるような情報だけで志望動機なんて説明できないということ。もう一つは質問の意図が分からないからだ。「志望動機は何?」と聞かれれば、「入社後半年間ある、会社の研修制度に惹かれて」「説明会で聞いた人を大切にするという社風に惹かれました」と、会社の良いところプレゼンをしてしまう人が多いだろう。

結局この質問では、就職活動に慣れている人ほど、「それっぽい」理由を話すことができてしまうし、それでは企業側も、その人自身が何を考え、どんなことにモチベートされるか分からない。

だからこそ、選考時には志望動機を問うのではなく「あなたにとって働く理由は何ですか?」と働くことそのものに対する考えを聞いたほうがよっぽど人間性がわかると思う。

 

教育機関でも就労支援機関でも「働く理由」は教えてくれない

新卒での就職活動では、大学のキャリアセンターが実施する自己分析講座や面接対策、大手ナビサイトで求人情報を検索するのがほとんどだろう。いずれも、自分の中に「働く理由」と向き合うのではなく、どんな仕事内容であれば自分が向いているかを診断し、お金、やりがい、職場環境など仕事を選ぶ上での優先順位を決めるようなものばかりだ。

またそれは、既卒や無業者の就職を支援する公的機関でも同様で、厚生労働省が運営する若者サポートステーション(サポステ)やハローワークもまた、働く理由から考え始めることはない。ハローワークは失業保険の給付手続きや職業訓練、求人情報の提供がメインで、「情報があればすぐに就職できる」ような人を主な対象としている。一方、サポステは「うつ病で会社を退職。再就職先を探している」「学校を中退し、引きこもりに。親からの勧めで来た」など「就職まで少し距離が遠い」人が主な対象となっている。

しかしながら、その運営目標は「就職数」が設定されている。するとどうなるか。サポステは単年度契約であり、その年の目標達成度によって来年度も契約更新できるかが変わってくる。若者自身の内側から育まれる働く理由は、そのきっかけや理由自体は様々であり、うまくプログラム化・システム化できず時間がかかる傾向にあり、数値での目標管理も難しい。そのため、就職へとつなげるために、若者自信に内発的な「働く理由」が育まれることをすっ飛ばして、自己分析や企業研究、合同説明会のような出会いの場をセッティングし、まるで2階へとあがるためにハシゴを使って無理やり引っ張り上げるような方法で企業へとマッチングする。

もちろん、仕事をするなかで理由が芽生えることもある。けれど仕事は大変なことばかりだ。上司からの叱責や顧客からのクレーム、日々変わらないルーティン業務…。嬉しいこともあるだろうが、外からの働きかけで無理やりつくられた理由など、仕事での苦悩を前にポキっと折れてしまうだろう。

 

自分の言葉で語れる人は力強い

「なんで働くのか」青臭く、人間臭い問いかけだけど、「良い大学に入り、大企業に入れば幸せ」という安定したレールがなくなったいま、より重要な意味を持つようになってきたと感じる。

若手社員の定着に頭を抱える経営者やマネジャーの方々はぜひ一度、自分がどうしてこの会社で働いているのか?なんでこの仕事をしているのか?を考えてみて欲しい。キレイ事である必要はない。「生活のため。子どもにたくさんの体験をプレゼントしたい。だから一生懸命働いてお金を稼いで、休日は全力で遊ぶ。」とても素敵な理由ではないだろうか。

これから新卒として就職、また就職・転職活動をはじめる人は「なぜ働くのか」を考えてみて欲しい。自分のことを正しく理解することは難しいので、知り合いや先輩、家族、あるいはキャリアに詳しい方に相談に乗ってもらうこともいいだろう。民間の就職サービスも使い方次第では活用できる。例えば大手であればDODAのような人材会社へ登録すると専任キャリアコンサルタントがつくので、活用するのもいいだろう。

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